愛媛県はサイクリストにとって、山も、海も、川も、島も、そして美味しいものもたくさんある、見どころいっぱい、走りごたえ満点のサイクリング天国。コースもバリエーションに富んでいて、あらゆるサイクリストが満足できるのも魅力です。
今回は、愛媛県に詳しいプロMTBライダー・門田基志選手と、門田さんとともにレースを走る若手のホープ・西山靖晃選手に、愛媛県のなかで「一番気持ちよく走れる道」「一番登りがいのある坂道」「一番走りがいのあるオフロード」を教えてもらいました。
――まずは愛媛県のなかで「一番気持ちよく走れる道」を教えていただきたいのですが、門田さんはいかがでしょうか?
門田:やっぱり「しまなみ海道」と答えたくなるんですけど、そこは西山が詳しいので、ぼくはもう少しマニアックなコースを紹介します。
門田:しまなみ海道も通る「伯方島」の北東沖に、弓削島や生名島といった25の小さな島からなる上島(かみじま)町という街がありまして。
門田:旅客船やフェリーに乗らないと行けない島々なのですが、自転車を乗せられるフェリーが今治港のほか、生口島、因島から出ています。
門田:25の島のなかでも、生名島、佐島、弓削島は「ゆめしま海道」というルートでつながっていて、自転車で行き来できます。いま整備されているのは4kmほどですが、最終的に岩城島まで橋がつながって、6kmほどのルートになる予定です。
門田:小さな島ですし、コースも短いように感じるかもしれません。でも瀬戸内海の島って、だいたいどの島も海からせり上がった小山のようになっているので、島の外周がコースになっているところが多いんです。しかも車や人も少ないし、信号はひとつもありません。
門田:船に自転車を預けて島に渡る体験が非日常感を高めてくれるし、上島町は古き良き漁村らしさが残っていて、時間の流れもゆったりしているので、のんびり走るには本当にいいところだと思います。ぼくも心身をリフレッシュしたいときなど、時々走りに行きますよ。
――西山選手は、やはり「しまなみ海道」でしょうか?
西山:愛媛でフラットなコースを気持ちよくサイクリングしたいのなら、やっぱりしまなみ海道は外せないですよね。
西山:瀬戸内海の島々や青い海を見下ろしながら気持ちよく走れる橋の上はもちろん、島に降りてからも海沿いの道などフラットなところが多く、信号もほとんどありません。
西山:ほどよい距離感でカフェや道の駅があって、各島にそれぞれの歴史や文化があって、グルメを楽しみたい方にもオススメです。
ぼくは時間ができれば、ふらっと行くことが多いのですが、そのときの都合に合わせてひとしきり走って、景色のきれいなところでちょっと立ち止まって、海を見ながらぼーっとできるのが最高ですね。
西山:あと、近代的で大きな橋と、古き良き瀬戸内海の街並みのコントラストが映える場所がいくつかあって、個人的にはそういう場所を探して行くのが大好きなんです。
――プロのサイクリストとして、愛媛県のなかで「一番登りがいのある坂道」はどこでしょうか?
門田:やっぱり「UFOライン(町道瓶ヶ森線)」ですね。西日本最高峰の石鎚山(1,982m)などが連なる四国山脈の尾根を27kmにわたって貫く道で、最高地点で1,690mもの標高があります。
門田:標高が高いためとても涼しく、夏は避暑と高地順応を兼ねてこのコースでトレーニングをしています。特におすすめなのは、石鎚神社の近くにある土小屋(1,492m)から、ルート最高地点の瓶ヶ森頂上付近(1,690m)までの道のり。この付近には宿泊施設も整っているため合宿に最適なんです。
太平洋から瀬戸内海までを一望でき、雲海や紅葉など四季折々の表情も楽しめます。絶景を楽しみたいというサイクリストにもオススメですね。
門田:あと、UFOラインの西側につながる「石鎚スカイライン」では毎年夏に『石鎚山ヒルクライム』というロードレースが開催されています。
門田: 2018年は、距離22.1km、標高差900m、平均勾配6.0%を一気に駆け上がるコースを40分台で走り切る人も現れました。海外からの参加者も多く、定員800名があっという間に埋まる人気イベントですが、ぜひ参加してみてください。
――西山さんはいかがでしょうか?
西山:石鎚山もきついですが、しまなみ海道も通っている大島の亀老山の登り道もきついですね。
西山:登り口からピークまで約3kmと短いコースなのですが、平均勾配は8%弱、後半に急勾配があって最大勾配で10%を越えるため、かなりハードです。
西山:でも、登りきったところにある展望台からの眺めは最高。瀬戸内海の島々を一望でき、季節や時間帯によってさまざまな表情を見せてくれるので、何度行っても飽きません。
西山:コース沿いのガードレールもワイヤーが何本か張り巡らされているだけなので、コース途中で見える景色もとても抜けが良く、美しいですよ。
西山:脚力に自信のない方は、今治のジャイアントストアなどでスポーツタイプのE-BIKEをレンタルするのもオススメです。最近のE-BIKEはバッテリー容量も多く、100kmくらいは普通に持ちます。亀老山に登って、ちょっとしまなみ海道を寄り道して帰ってくるぐらいなら余裕ですよ。
――最後はお二方の得意分野でもある、愛媛県のなかで「一番走りがいのあるオフロード」についてお伺いしたいです。
門田:愛媛の南西部、松野町で毎年開催されている『松野四万十バイクレース』は、初級の「チャレンジ部門」でも40km、最上級の「アルティメット部門」では140kmという日本最長のオフロードコースに挑めます。
門田:ヨーロッパのトレイルにも引けを取らないくらいの大自然の景色を楽しめるコースで、とても走りやすいです。MTBが好きな人には自信を持っておすすめできます。
門田:レースだけでなく、周辺のスポットも穴場だらけ。このあたりは日本三大清流のひとつといわれる四万十川の源流域のため、豊かな自然に恵まれています。
門田:四万十川や、支流の広見川や目黒川では水遊びも楽しめますし、鮎や鰻、蟹を捕ることもできるんです。『松野四万十バイクレース』のスタート地点から最寄りの松丸駅には温泉施設もあるので、ここを拠点に四万十川沿いを走るのもいいし、町内の名所や道の駅を回るのもオススメです。
――西山さんはいかがですか?
西山:愛媛でMTBといえば、JCF(日本マウンテンバイク協会)公認コースで、毎年UCI(国際自転車競技連合)公認のレースも行われる「八幡浜市民スポーツパーク」は外せません。
西山:MTBのオリンピック日本代表選考会も行われているコースがあり、ふだんからプロのサイクリストも集まる場所なんですが、一般人でも無料で同じコースを走ることができるんです。
西山:もちろんレベルに応じて、初心者コース、中級者コースを楽しむことも可能。MTBを持っていなくても、MTBとヘルメットをレンタルしたり、キッズ用のMTBも用意されているので、家族で手ぶらでやってきても楽しめます。日本のトップ選手が走るコースを気軽に楽しめるなんて、ステキだと思いませんか?
チームジャイアント所属のMTBプロライダー。今治を拠点に国内・世界のレースに参戦する傍ら、自身のテレビやラジオ番組を持ち、愛媛の自転車文化を盛り上げたことが評価され、2019年5月には「自転車活用推進功績者」として国土交通省から表彰された。2019年、自転車関連の会社・株式会社コイデルを設立。
門田選手が結成したMTBチーム「チーム山鳥」所属のMTBライダー。生まれも育ちも愛媛県松山市。門田選手とともに国内のレースや海外のレースにも参戦する若手のホープ。
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