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しまなみ海道の旅コツ。現地ガイド歴10年のサイクリストが伝授

しまなみ海道の旅コツ。現地ガイド歴10年のサイクリストが伝授

Fun & Fitness

広島県尾道市から愛媛県今治市まで、瀬戸内海の6つの島々を橋でつないだサイクリングロード「しまなみ海道」。多島美の風景や、絶品グルメ、整備されたコースが好評を博し、アメリカCNNのトラベル情報サイトでも「世界7大サイクリングロード」に選出された「サイクリストの聖地」です。

しかし、実際に訪れてみるとなると、どのくらいのサイクリングレベルがあれば走破できるのか? 外せないスポットはどこなのか? など、事前に知っておきたいことがたくさんあるのではないでしょうか。

そこで、しまなみ海道のガイドとして10年以上、自転車旅のメニュー開発などにたずさわっている宇都宮一成さんに、瀬戸内海縦断コースを走破するヒントや、おすすめのお立ち寄りスポットなどを聞きました。

グルメや絶景を楽しめる、2日以上の旅プランがおすすめ

――しまなみ海道は、最短距離で約70〜80kmのロングコースで、橋へ登るための坂道や峠道などのアップダウンもあります。どのくらいのサイクリングレベルの人なら走破できるでしょうか?

宇都宮:誰でもできますよ。サイクリングコースには初めての方でもわかりやすいように、ガイドとなる「ブルーライン」が引かれており、道案内の看板も充実していて、そのとおりに走るだけでも見所がたくさんあります。サイクリングに慣れている方や二度目以降の方は、少しコースを外れてみれば、また違う風景に出会えるでしょう。

しまなみ海道には、歴史、食べ物、風景、本当にさまざまな魅力が詰まっています。けれど何より大切なのは、自転車旅をするその人自身が、どういう視点で何を楽しみたいかです。

おすすめは、瀬戸内海ならではのグルメや絶景を楽しみながら、途中どこかの島で宿泊し、2日以上に分けてゆっくりゴールを目指すプランですね。片道なら、土日でも十分に楽しめると思います。

宇都宮一成さん

宇都宮一成さん

――ご自身の自転車を持っていない方や、現地に持って行くのが難しい方もいます。片道の場合、レンタサイクルは乗り捨てできるのでしょうか?

宇都宮:公営のしまなみレンタサイクルなら、愛媛県側でも広島県側でも借りられて、途中に数か所あるレンタサイクルターミナルのどこでも返却できますよ。日本各地の観光地にもレンタサイクルのサービスがありますが、ここまで充実しているところはないと思います。

目に飛び込んでくるすべてが絶景(写真:松田然)

目に飛び込んでくるすべてが絶景(写真:松田然)

出発の前に、お尻のケアはお忘れなく!

――サイクリングに出発する前に、準備しておくと良いものはありますか?

宇都宮:非常によく聞くのが「長距離走行でお尻が痛くなってしまった」という声です。せっかくやる気があっても、それだけでリタイアの原因になります。できる対策は、お尻に衝撃吸収のパッドが入ったサイクリングパンツを履くことや、ジェル入りのサドルカバーをつけておくことなどです。

また、荷物を持ちすぎるのも身体に負担が大きいので気をつけたいですね。動きやすい衣類と、歯ブラシなど最低限の宿泊セットがあれば、途中で買い物できるコンビニなどもあるので大丈夫。「なくてもなんとかなる!」という気持ちが大切です。マイ自転車の場合、輪行袋を用意しておくと、いざというときにバスや電車に自転車を積めるので便利ですね。

6つの島々には、ご当地グルメやスイーツがいっぱい

――今回は尾道から今治までの旅程を紹介したいと思います。週に2〜3回程度自転車に乗ったり、日頃から他のスポーツで体力づくりをしたりしているレベルの方に、おすすめのプランはありますか?

宇都宮:尾道までは、東京や京都、大阪からも、新幹線やJRを使って陸路で移動できるので便利ですね。可能なら、前日に尾道に宿泊するか、午前中に尾道に到着してスタートできる旅程を組むと、余裕を持って走れます。

体力に合わせて、島々の外周を走ったり、「とびしま海道」など周囲の他の島々へわたったりと走行プランはたくさん組めますが、今回は定番コースをご紹介しますね。

しまなみ海道といえば「橋」

しまなみ海道といえば「橋」

――ありがとうございます! サイクリングと合わせて楽しみたい観光スポットやグルメ情報も教えていただけると嬉しいです。

宇都宮:まず、最初の島「向島」へは、橋を渡るのではなく、自転車と一緒に乗れるフェリーで行くのがおすすめです。橋の起点は尾道駅から離れた場所にありますが、フェリーはすぐ近くから出ており、所要時間はたったの5分。

向島には、瓶入りのソーダやジュースなどを製造・販売している、1930年創業の「後藤鉱泉所」があります。ここで喉を潤し、次の島「因島」では、地元で育ったはっさくをつかった餅菓子「はっさく大福」を食べるのが定番ですね。

「後藤鉱泉所」の気さくなおばちゃんとの会話には、癒されること間違いなし

「後藤鉱泉所」の気さくなおばちゃんとの会話には、癒されること間違いなし

「はっさく屋」のはっさく大福

「はっさく屋」のはっさく大福

宇都宮:次の「生口島」では、ジェラート専門店「ドルチェ」や、タコの天ぷらを卵でとじてごはんに載せた「蛸天丼卵とじ」が名物の「御食事処 ちどり」などが有名です。17のアート作品を島内に点在させた「島ごと美術館」や、日本各地の寺社仏閣建築を模して建てた堂塔が立ち並ぶ耕三寺など、見所もたくさんあります。

耕三寺

耕三寺

温泉に海鮮、クラフトビール。大三島で1泊して疲れを癒そう

――立ち寄りたいスポットが本当にたくさんありますね! 1日目はどこを目指せばいいのでしょうか?

宇都宮:宿泊のおすすめは、生口島の次の島「大三島」です。ちょうどしまなみ海道の中間あたり、大三島から愛媛県に入りますから、1日の達成感を味わえるのではないでしょうか。

大三島では、初心者向けのブルーラインは東側の海沿いを南下します。少し足腰に自信がある方は、山を越えて島の西側にある宮浦地区に足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。このエリアには、瀬戸内海を眺める露天風呂が人気の温泉「マーレ・グラッシア大三島」や、しまなみ随一の観光スポット「大山祇神社」など、見所がたっぷりです。クラフトビールの工房&ビアカフェ「大三島ブリュワリー」もおすすめですよ。

また、「しまなみ海道」全体にいえることですが、なんといっても海鮮が美味しい! 泊まった宿や食事処で、新鮮な海の幸を味わっていただきたいですね。

マーレ・グラッシア大三島

マーレ・グラッシア大三島

大山祇神社

大山祇神社

――温泉やビールに海鮮料理なんて、自転車でたくさん走って疲れた体には染みわたりますね!

宇都宮:そうなんです。旅ですから、やはり寄り道が大事。「大三島」では、余力があれば島の北側を走ると、海を見ながら爽快感抜群のサイクリングを堪能できます。南側は健脚コースですが、こちらも自然豊かで風光明媚な景色が広がっています。じつはどの島も、ブルーラインをたどるだけだと、海沿いの道はほんのわずかなんです。寄り道は自転車旅の醍醐味ですね。

大三島、北側の海を望むルート

大三島、北側の海を望むルート

あえてブルーラインを外れてみるのも、しまなみ海道を楽しみ尽くすポイント

宇都宮:次の島は、スーパーマーケットでよく見かける有名な塩ブランド「伯方の塩」で知られる「伯方島」。この島は、ブルーライン沿いに行けば約3kmで通りすぎてしまいます。途中、「道の駅伯方S・Cパーク マリンオアシスはかた」にて、塩ラーメンや塩ソフトクリームを食べてみるのもいいでしょう。

大三島から伯方島へ向かう「大三島橋」(写真:松田然)

大三島から伯方島へ向かう「大三島橋」(写真:松田然)

海を見ながら食べる塩ソフトクリームは格別(写真:松田然)

海を見ながら食べる塩ソフトクリームは格別(写真:松田然)

宇都宮:そして、最後の島が「大島」。この島のブルーラインは、島の真ん中を最短距離で突っ切る国道沿いのルートなので、時間や体力に余裕があればぜひ、西側の海沿いの道を走ってみてください。初級者は最短距離で走りきるのがベターですが、中級となったらブルーラインを外れてみるのが、しまなみ海道を存分に楽しむポイントのひとつです。

この辺りは、14世紀から16世紀頃にかけて瀬戸内海を支配していた村上水軍の拠点として知られるエリア。村上水軍は、小説、漫画作品である『村上海賊の娘』のモチーフとして、一躍有名になりましたよね。興味のある方は「村上海賊ミュージアム」に立ち寄ってみるのもよいでしょう。

そして、大島を北から南へ走り終えると最後に見えてくるのが、全長4kmの巨大吊り橋「来島海峡大橋」。この光景を見て、ワクワクできる余裕が残っているといいですね。疲れていると「まだこんな難関があったの!?」と、びっくりするかもしれません(笑)。

でも、この橋からの眺めは最高なので、最後の力を振り絞ってチャレンジしてみてください。さらに余裕がある方は、大島の南側の山の上にある「亀老山展望公園」まで登って多島美を鑑賞したり、橋の途中、自転車を載せてエレベーターで降りられる「馬島」に立ち寄ったりするのもいいですね。馬島は車では行けない島。隠れビーチがあり、潮流を間近に見られる穴場スポットです。

来島海峡大橋

来島海峡大橋

亀老山展望台

亀老山展望台

地元の人との出会いが、一番の宝物 

――本当に盛りだくさんですね。そして、いよいよ……!

宇都宮:来島海峡大橋を渡り終えると、四国本島に上陸です! ゴールの定番として知られているのは「サイクリングターミナル サンライズ糸山」ですが、JR今治駅からは少し遠いので、ここで自転車を返してしまうと移動が大変かもしれません。

そこで私がおすすめしたいのが、今治駅のすぐ近くにあるゲストハウス「シクロの家」。私を含め、しまなみエリアで活動する、自転車旅が大好きな仲間が集まってつくった拠点です。宿の前にある「START&GOAL」と書かれた「しまなみ海道0km地点」の看板は、「スタートの高揚感やゴールの達成感を味わえる記念写真スポットがほしい!」という旅人たちの声に応えてつくったものです。ぜひ、ここを最終目的地として目指してみてくださいね。

「シクロの家」。右手の水色の看板前は、記念写真撮影に人気のスポット

「シクロの家」。右手の水色の看板前は、記念写真撮影に人気のスポット

宇都宮:そして時間に余裕がある方は、しまなみ海道を渡り終えたあと、愛媛県内のさまざまなエリアにぜひ足を伸ばしてみてください。例えば、今治から車で1時間ほどの場所には、日本最古の温泉といわれる道後温泉、さらに1時間行くと、19世紀後半から20世紀前半頃にかけてつくられた町並みを散策できる内子町など、見所は尽きません。 

――お話を聞いていて、すぐにでも走りに行きたくなりました! 最後に、宇都宮さんが考えるしまなみ海道の魅力とはなんでしょうか?

宇都宮:いままでご紹介した通り、風景も格別ですし、橋も壮大、グルメもたくさんあるのですが、一番の魅力は住んでいる人の温かさでしょうか。

いままでたくさんの自転車旅をガイドしてきましたが、しまなみ海道を走った方にとっては、やはり出会いが何よりの宝物になるようです。初めて来て走ってみたあと、もう1回来たいと思えるのは、ここで出会った人にまた会いたいからという理由が大きいんじゃないでしょうか。

しまなみ海道は、地元の方が気さくに声をかけてくれ、サイクリスト同士の交流も楽しめるエリア。この場所ならではの心温まる自転車旅を、ぜひ満喫してくださいね。

宇都宮さんがガイドを務める「シクロツーリズムしまなみ」では、農業プログラムとサイクリングを絡めたツアーなども実施している

宇都宮さんがガイドを務める「シクロツーリズムしまなみ」では、農業プログラムとサイクリングを絡めたツアーなども実施している

PROFILE

宇都宮 一成(うつのみや かずなり)

1968年、愛媛県西予市宇和町生まれ。自転車好きが高じ、10年かけて夫婦でタンデム自転車による世界一周を敢行、88か国を巡った。帰国後、NPO法人シクロツーリズムしまなみポタリングガイドとして、しまなみ海道自転車旅メニューを開発中。しまなみの魅力再発見のため、島々を隅から隅まで走り回る日々を過ごしている。

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